カギよりキーホルダーを無くした事の方がショックです。
 私には好きな人がいる。私がマネージャーとして所属している社会人サッカーサークルの部長がそのお相手だ。男らしくて優しくて、サッカーもうまい。大手電機会社の主任ということもあり、将来も有望だ。おまけにルックスも斎藤工似のイケメンである。もちろん、そんな素敵な人を世の女性が放っておくはずもなく、彼には彼女がいる。つきあってもう5年になるそうだ。一度写真を見せてもらったことがあったが、すごく美人だった。そして先入観ががっつり入っていると思うけれど、性格が悪い。に違いない。

 私が彼に一目ぼれしてから2年が経つ。もう彼もそれなりの年齢なので、いつ結婚するかとビクビクしているが、いまだにその報告がないということは、私にだってチャンスはゼロじゃないということだ。それどころか5年も付き合っているのにまだ結婚していないということは、結婚できない何かがあるんじゃないか、もしかしたら破局寸前なのではと勘繰ってしまう私も嫌な女だけど、やっぱり諦められないのだ。

でもそんな私にバチはすぐに当たった。自宅のカギを失くしてしまったのだ。しかもずっと前に彼が海外出張のお土産でくれたキーホルダーのついたカギである。ハッキリ言って、カギよりキーホルダーを無くした事の方がショックだった。しかもそのキーホルダーを無くしてすぐ、彼が結婚するという知らせを受けた。泣き面に蜂というか瀕死のカエルにヘビだ。私は情けなくて悲しくて、その日は声が枯れるまでたくさん泣いた。

 そして今、彼の結婚式の出し物をサッカーサークルでやろうということになり、私はAKBのフリ付けを一所懸命覚えているところだ。きっとキーホルダーを無くしたのは、彼を忘れろってことなんだと自分に言い聞かせながら、恋するフォーチュンクッキーをやけくそになって踊るのだった。